クールなお医者様のギャップに溶けてます

地元で有名なお寺は実家の最寄り駅から乗り換えを含めて40分。
車内に乗り込むも、年越しをお寺で過ごそうと思う若者からご年配の方までで混雑してる。

「すごい人だな。」

「そうですね。」

電車がガタッと動く度に人の塊が一斉に動く。
その動きに合わせてなんとか自分の居場所を確保すると、周りの声が耳に入ってきた。

「ねぇ、あの人超カッコ良くない？」
「あの背の高い人でしょ？３０過ぎ位かな？カッコ良いねー！」
「芸能人？違うか。でも、素敵ー。」

女子高生位の三人が明らかに先生を見て頬を赤らめている。

「私の彼氏もあんな風にカッコ良ければいいのになぁ。」
「カナの彼氏もカッコ良いよ？」
「すごく盛ってサッカー選手って感じだよねー。」
「でも今日だってドタキャンするし、マジ空気読めないやつ。」

ドタキャンか。
かわいそうに。
彼女、楽しみにしてたんだろうな〜。

ていうか、女子高生のハートも掴めるなんて先生ってすごい。
私なんかが隣に立ってていいのかな。
あの子たちに私が彼女って分かったら、趣味悪い、とか思われちゃうのかも。
それはそれで申し訳ない。

どうしたものかと悶々と考えていると、またガタッと車内が動いた。
その拍子に先生の方へ倒れてしまう。

「すみません。」と謝れば先生は私の腰に手を当てて私を支えてくれた。