クールなお医者様のギャップに溶けてます
あれ?
先生が急に黙っちゃった。
猫舌の仮説は間違ってた?

「先生?」

「ん、あぁ、すまん。俺も寝不足かな?今、ちょっとぼーっとしてた。」

「アロマオイル使ってますか?」

「あれは亜樹がマッサージしてくれる時に使うんだろ?」

そんな事、一言も言ってない。
大体、前は私を騙してマッサージさせたんじゃないか。

「オイルは寝れない時にはいつでも自分で使って下さい。」

「可愛くないなぁ。ベッドの中じゃ従順だったのに。」

身を屈めて私の耳元で囁くその声に身体中が熱くなる。
従順もなにも、初めてだったんだから仕方ないじゃない!
先生は慣れてたみたいだけどさ。
もうっ!思い出したら恥ずかしいし、妬けてきた。

「そういう事を言うのはズルいですっ!もうマッサージもたい焼きもあげませんっ!」

「ハハ、ごめんごめん。でもまた泊まりにおいで。なんなら今日このまま泊まりに来るか?」

「え?」

「いや、またそれは今度にしよう。明日は新年だし、ご家族と一緒に過ごした方がいい。」

「はい。」

私だけじゃなくて私の家族を想ってくれる先生はすごく優しい。
フーフー、とたい焼きを冷まして先生の口元に持っていくとパクっと食べた。

「あぁ!半分も!」

「お参り終わったら焼きそば買ってやるから泣くな。」

残りのたい焼きを一口で食べ切り、前を向けばお賽銭箱が見えてきた。

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