クールなお医者様のギャップに溶けてます
タクシーが止まったのは、大物政治家が使いそうな割烹料亭の前。
その門構えに圧倒されつつ門をくぐれば、和服姿の女将が迎えてくれた。
先生のご両親が待つ個室へと進むにつれて、緊張と不安が押し寄せてくる。
「ど、どうしよう。私、本当に大丈夫かな?」
「大丈夫だ。ちゃんと話しはついているから。この前みたいにはならない。」
「本当に?ねぇ、お母さん、私の顔大丈夫?着物も崩れてない?」
「大丈夫よ。顔は引きつってるけどね。」
急に会う事になるなんて、本当に心の準備が整わない。
なんて挨拶すればいいの?
もう「はじめまして」じゃないし、「すみません、また私です。」じゃ変でしょ?
襖の前で躊躇していると、お父さんが襖を開けようとする女将さんを下がらせて、勢いよく襖を開けた。
「やっぱりあなたでしたか。神野さん。」
「本山さん?なぜここに?」
「亜樹は私の大事な娘です。」
「なんと…そうでしたか。」
驚くダンディ父の目の前にお父さんはドカっと座り、ダンディ父をジロリと睨む。