クールなお医者様のギャップに溶けてます
ダンディ父曰く、先生は、母親が出て行ってから愛情というものを否定するようになった。
その際たるものが父親の再婚だ。
父親は今の奥様をただ若いだけ、ただ従順なだけで選んだ訳ではない。きちんとそこには愛があってその延長線上に結婚があった。
でも、先生はそこに愛がある事を信じなかった。

家を出て行ってから、知人を通じて様子を伺っていたが、異性に対する愛情は皆無。
容姿が良いせいで女性には困らなかったようだけど、自分から女性を求める事はしなかった。

そこに現れたのが、先生に対して一途な愛を示した百合子さん。

息子への愛情の深さを理解した父は、女なら誰でも良いと思っている息子に無償の愛を提供する事を条件として、百合子さんとの縁談を進めた。
百合子さんの家柄が良かっただけに、自身の病院の将来をあわよくば、と考えていたのもまた事実だけど。

ただ、そこに思ってもない事が起きる。
先生に好きな人が出来たのだ。

その相手の事を、先生と同じ病院に勤める親戚の看護師を通じて調べてみれば、別れた母親を思い出させるような人物。

これを当てつけだと考えた父は表面上は納得しておきながら、百合子さんとの縁談は断らず、そのまま進めた。

彼女を連れて行く、と言われた時、悲しかったと言う。
そこまで父親を恨んでいるのか、と。
だから私にあからさまな態度を取り、帰るように仕向けた。

でも、親子でちゃんと向き合って話しをしてみれば、息子が本当に彼女を愛しているのを理解する事は容易い事だった。

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