クールなお医者様のギャップに溶けてます
「亜樹さん、こちらに。」

涙を拭ったダンディ父に呼ばれ、お母さんの隣に座る。

「亜樹さん。本当にすまなかった。これから聡の事をよろしく頼みます。」

ダンディ父が頭を下げれば、美人妻も同じように頭を下げる。
私も急いでそれに倣う。

「こちらこそ、よろしくお願い致します。」

顔をあげれば、二人が笑顔で見つめてくれた。
そして、ダンディ父はお父さんの方に向き直る。

「本山さん。あなたのおかげで素晴らしい日になりました。本山家と繋がりが出来た事を誇りに思います。」

「いやいや、なんかすみません。事情も知らないのに怒鳴ってしまって。でも、亜樹はどこに出しても恥ずかしくない娘です。どうか亜樹にも愛情を注いでやって下さい。」

「お父さん…。」

やばい。涙腺が崩壊してきた。
さっきは耐えたのに。
お母さんがすかさずティッシュを渡してくれたおかげでパンダ目にはならずに済んだけど。

「では、そろそろ食事にしましょうか。女将、食事を頼みます。女将?」

「はいぃっく。か、かしこまりっく、ました。」

嗚咽混じりの声を聞く限り、襖の外で待っていた女将が一番号泣していたようだ。
それがなんだかおかしくて笑ってしまう。

そこからはもう宴会状態だ…。

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