クールなお医者様のギャップに溶けてます
大学病院までは高速道路を使って車で30分。

車内では特に話す事もなかったから、ただただラジオから流れる音楽に耳を傾けていた…ら、いつの間にか寝てた。

「おいっ、起きろ、着いたぞ、おいっ!」

「はっ!す、すみません。」

高級車の居心地の良さと今日の不安の寝不足とでうっかり寝てしまった。
これは恥ずかしい。

急いで車から降り、先生の後に続くと職員用の通路へと入って行った。

大学病院は広い。

研修で来た時はいつも先輩看護師の後を付いて回っていたから迷子にならなかったけど、先生がずんずんと入って行く職員用の通路は初めて通る所で、一体自分が今どこにいるのかさっぱり分からない。

だから心の準備も出来ないまま勉強会が行われる会議室に到着してしまった。

「参加費は払ってあるからあとはそこに名前と勤務先を書いておいて。」

「はい。」

芳名帳に名前と病院名を書く。

こういう時、いつも思うんだけど、字が綺麗な人が羨ましいんだよね。
私の丸文字はすごく幼く見える。

ふと隣を見ると先生が超綺麗な字で名前を書いていた。

なんでもかんでも美しいなんて、ここまでくると嫌味だわ。

「書けたか?」

「あ、はい。」

「開始時間は7時からだから適当に席確保して、あとは自由にしてろ。」

「はい。」

適当に…ねぇ。
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