クールなお医者様のギャップに溶けてます
会議室はすでに7割方席が埋まっている。
どこに座ろうかキョロキョロしてると声を掛けられた。

「本山さん?」

声が聞こえた方向を振り返るとそこにはあの時の先輩看護師がいた。

「あ、青木さん…ご、ご無沙汰しております。」

「久しぶりね。あ、席が決まってないなら私の隣に来なさいよ。」

隣⁈
それはさすがに心が折れそうなんですけど…。まさかこのタイミングで会うと思ってなかったし。

でも、これは謝罪の良い機会なのかもしれない。
勇気を出して隣に座る。

「本当に久しぶりね。3年振りかしら。神野先生が言ってた通り、変わらないわね〜。」

にこやかな笑顔が怖い。
その笑顔は本物?

あー、もうっ!
しっかりしろ、私!

「あ、あのっ。」

急に大きな声を出したから青木さんは驚いたようだけど、また笑顔に戻り話しを聞く姿勢をとってくれた。

「あの時はすみませんでした。私のせいで青木さん含め皆さんに嫌な思いをさせてしまって。すぐに謝るべきだったのに、謝る事すらしないで今日まで逃げてました。本当にすみませんでした。」

深々と頭を下げて謝罪する。
息を飲んだ様子が頭を下げていても分かる。
怖い。でも、ずっと伝えたかった。今伝えなければ一生伝えられない。

どのくらいの間、頭を下げていただろう。
肩を触れられ、ビクっとしてしまう。

「頭を上げてちょうだい。謝らなければいけないのは私の方だわ。」

「え?」

「まだ少し時間があるわね。ちょっといいかしら。」
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