クールなお医者様のギャップに溶けてます
「うわっ、な、何?」

振り返ると息を切らした先生がいた。

「勝手に帰るな。」

「何でですか?もう終わりですよね?」

お腹空いたし、早く帰りたいんですけど。
ラーメン食べたい。

「送ってくから。」

「先生この後の懇親会に出るんですよね?」

終了の挨拶の時に、「この後、懇親会があります。お酒も軽食も用意してあるのでどうぞ皆様ご参加下さい」とか言ってた。
いいなぁ〜なんて思っていたから間違いない。

「さっき誘われたけど、断ってきた。だから大丈夫だ。」

大丈夫、と言われても…。

「電車で帰るので大丈夫です。私の事は気にせず懇親会に参加して下さい。」

クルリと向きを変え、到着したエレベーターに乗ろうと動こうとした背後から「はぁ」というため息が聞こえた。

条件反射のようにビクっとするとまた腕を掴まれ、今度は引っ張られた。

「ちょっと、先生離して下さいっ。どこ行くんですか?帰りたいんですけど⁈」

「うるさい。黙って付いて来い。」

うるさい、って何様なのよ?!
廊下にいる皆さんに変な目で見られてるじゃん。
もう、なんでこんな事になるのよ…。
< 29 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop