クールなお医者様のギャップに溶けてます
先生と反対側に座る花絵を見て、目の前に座るこうちゃんを見て、ナースステーションへ戻ろう、ってアイコンタクトで伝える。

2人の同意を得たと同時に立ち上がろうとしたら、先生が話し掛けてきた。

「さっきラーメンがどうとか聞こえたけど、また食べたくなったのか?」

「…もしかして、盗み聞きですか?」

ジロっと睨むと睨み返される。

「嫌な言い方をするな。あれだけ大声で『ラーメン食べに行かない?』とか言ってたらここにいる人みんな『今日、ラーメン食べに行くんだ〜』って思ったと思うぞ。大体ラーメン食べに行く時は言え、って言っただろ。連れて行ってやるから。」

私、花絵、こうちゃん、盗み聞きしてる事務所の女子たち全員フリーズです。

静かな静寂が食堂に起きています。

その間、およそ10秒程度だけど、先生のPHSの音が鳴るまで10分位あった気がする。

「急患が来るらしい。今から外来に行くから入院の準備だけしておいてくれ。」

「わかりました。」と答えたのはいつも冷静な花絵だ。

フリーズの溶けない私の目の前にはパンが現れた。

「このパン食べていいから機嫌直せ。」

「なっ?」
なんですと⁇

パンなんて要らないよっ。それよりもフォローをして下さい(泣)
泣きそうになりながらパンを見ていたら事務所の可愛い子ちゃんが目の前に現れた。

「ちょっとよろしいですか?」

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