クールなお医者様のギャップに溶けてます
家まで送る、と言う山田さんの申し出を断り、電車で帰る。

フレンチレストランから最寄り駅までは15分位。この位の距離は火照った頬を冷ますのにちょうど良い距離だ。

ただ、酔っているとはいえ夜の屋外は寒い。
コートのポケットに手を入れると山田さんの名刺に触れた。

『このお礼は必ずさせて下さい。何でもしますから、叶えて欲しい願いがあればいつでも連絡して下さい。』

何でも叶えるって。
魔法使いみたいな言い方で笑っちゃった。

お互い様なのに。

あんな素敵な場所で美味しい料理を食べれただけで十分だよ。

久しぶりに食べたフレンチのフルコースは美味しかったもん。

お肉は柔らかいし、お魚は新鮮だし、デザートなんて10種類のケーキの中から3種類を選ぶ、という嬉しいサービス付き。

甘い物が好きだという山田さんは私より選ぶのに時間が掛かってて、結局お金を余分に払うから5種類にして下さい、と言ってた。
思い出しても笑える。

もしあの人に好きな人が他にいなくて、私にも好きな人がいなければ山田さんを好きになっていたかもしれない、なんてちょっと思っちゃう。
でも、幸せになって欲しいっていう気持ちが9割だ。

山田さんの幸せを祈り空を見上げるとそこには無数の星が出ていた。

「うわぁ、綺麗。」

冬の乾燥した空気だから星がキラキラ綺麗に見える。

こんなに綺麗なら流れ星、見えるかも。

もし、流れ星が願いを叶えてくれるなら、先生と両思いになりたい、って願いたい。
この先、どうしたら私に気持ちが向いてくれるか分からないんだもん。
とりあえず、先生の気になる人をリサーチしようかな。あとは神頼みならぬ星頼み。

空を見上げて、流れ星が流れるのを期待して歩いていたら駅までがあっという間だった。
< 71 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop