クールなお医者様のギャップに溶けてます
「了解っす!じゃ、ねーちゃん、そういう事だから俺帰るわ〜。」

飄々と帰って行くカズの後ろ姿を見つめたあと、なんかイラっとした私は先生を思いっきり睨む。
先生に会えて嬉しくないわけないけど、この行動は意味不明過ぎる。家族まで巻き込んで。

「先生、突然何なんですか?話なら病院で聞きますから今日はとにかく帰って下さいよっ!」

「山田さんのお孫さんと今日会っていたんだろ?学会に行っていても気が気じゃなかった。いても立ってもいられなくて来てしまい、ご家族には怖い思いをさせて申し訳なかった。」

いつもと打って変わって素直な先生に戸惑う。
せっかく気分良くほろ酔いで帰って来たはずなのに、アルコールは完全に身体から抜けてしまった。

少しだけ時間をくれ、という先生に連れられてコンビニまで行くと、そこに停めてあった先生の車に乗せられる。

どこに行くのか分からないけど、何も話すな、と言わんばかりの先生の態度に自然と口が閉じてしまう。

それでも気になって先生の方を見ると、こちらを横目で見てきた先生と目が合った。
街灯の光で陰影が出来ている先生の顔はすごく色っぽい。
反射的に逸らしてしまったけど、赤信号で止まった時、「本山さん」と名前を呼ばれ、ゆっくりと振り向く。
すると、先生がこっちを見ていて、向き合う形になった。

「俺と結婚して欲しい。」

「…?」

「ダメか?」

「…??」

「おいっ、聞いてるか⁈」

はぁ!?
今、ケッコンって言ったよね?
最高に意味不明なんだけど。
私は先生の事は好きだよ?でも、先生は私の事を気にしてないはずで、私はこれから先生の気になる人をリサーチする予定で、流れ星に願いをして、で、結婚?!

「その冗談は面白くないです。」

「冗談じゃない。」

「いや、冗談でしょ。」

この前、私が先生にひどい態度とったから怒ってるんだ。
それか私の気持ちがばれて、からかわれてるとか。
どっちにしても冗談キツイなぁ。

「冗談じゃない。」

「いやいやいや、真面目にからかわないで下さい。」

「まぁ、そうなるよな。分かった。ちゃんと話すからちょっと外に出てくれ。」
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