クールなお医者様のギャップに溶けてます


2日後の日曜日。
いつもより30分早く家を出て、仕事に出勤する。

当直明けの先生はまだいるはずだ。

会いたいけど会いたくない複雑な気分。

着替えるためにロッカーに入れば花絵を含む5人が着替えをしていた。

「おはようございまーす」

「あ!おはよう!ねぇねぇ、どうだった?お見合い!」

花絵以外の4人が一斉に近付いてくる。

「昨日、お孫さんが来てたのよ。あれ、報告に来たんだってみんなで噂してたのー!」

報告に?
それなら話しは早い。
朝一で山田さんの所へ行こうと思って少し早く出て来たけど、そういう事なら短時間で済みそうだ。

「それで?それで?」と目を輝かす1人と冷静な3人に向かって「残念ながら私、山田さんに振られてしまいました!」と威勢の良い声で答えると案外呆気なくその話題は終了した。

あれ?
なんかもっとこう色々聞くんじゃないの?
目を輝かしていた一人だけ変な顔してたけど、その後、他の三人に無理矢理連れ出されたし。

なんだあれ?と不思議に思っていると花絵がコソッと教えてくれる。

「昨日、山田さんの病室から『ばかもーん』っていう叫び声が聞こえたんだよ。だから昨日出勤だった三人には何となく結果がわかっていたのよね。」

配慮してくれたんだ。
その気持ちが嬉しくて三人が出て行ったドアを感極まりながら見つめる。
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