クールなお医者様のギャップに溶けてます
ポケットにいつも入れているメモを一枚切り取るとアドレスと電話番号を書き、渡した。

「あとでメールするからちゃんと登録しておけよ。」

「分かってま…すぅ。」

「…何だその話し方は?」

今出来る精一杯の可愛い語だったけど、どうやら失敗したようだ。
可愛い語、難しい。

「メイクも変えただろ?」

「え?分かります?」

「ずっと見てきたんだ。その位すぐに分かる。」

また顔が赤くなるのが分かった。
心臓もバクバクするし、そういう事、さらっと言わないで欲しい。

「それって俺のためか?」

「どういう事ですか?」

「俺のために綺麗になってくれているなら嬉しい、と思っただけだ。」

「嬉しいんですか?」

「女が彼氏出来て綺麗になっていく、なんて男冥利に尽きるだろ。」

それはそれは。
努力した甲斐があったというものだ。
仕方ない。苦手な料理も頑張りますか。
先生から貰った生卵を一気に飲み干し、席を立つ。

「相変わらず凄いな…生卵を一気に飲むとは…。」

ご飯は食べ終わっちゃったし、飲み込む他に方法はないじゃないか。残すのは以ての外だ。
さすがに可愛げがないと分かったけど、そこは大目に見て下さい。

「私、そろそろ時間なので、先に行きますね。」

「あぁ。午後も頑張れよ。」

「はーい。」
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