碧い人魚の海
ナイフ投げが華麗なナイフの技を披露する。的(まと)になるのは綺麗な女の子。最初は見世物小屋の団員でやり、そのあと観客席から飛び入り参加を募る。それから3本のナイフを使ってのジャグリング。ジャグリングの最後は三つのナイフを宙高く放り投げ、落ちてくるところを華麗に受け取ってのフィニッシュ。
舞姫の舞(まい)は楽器の演奏つきで、しかも四人の男性バックダンサーつきだったので、貴婦人の前で見たものとは全く趣(おもむき)が違っている。そして、バックダンサーが舞姫を宙に投げて受け止めるというアクロバットがついていた。
ルビーはたくさんの観客の、おお、というどよめきの中で、目を瞠(みは)り、彼らの芸を見続けた。
大ホールでの演目は、基本的に鍛錬の賜(たまもの)だ。ちゃんとした演目として見るのは初めてだったが、ルビーは彼らが夜間などに人知れず練習を続けているのを知っている。
空中ブランコ乗りが出てきたときの声援はひときわ大きかった。わけても女性の黄色い歓声がすさまじい。彼は舞台で気取ったお辞儀をしたあと、梯子をするすると登って天井に取り付けてあるブランコにぶら下がったと思うと、次から次へと、違うブランコに飛び移り始めた。普通に飛ぶだけではない。アクロバティックに身体をひねったり、逆さになったり、丸くなって中空を回転したりしながら、幾つものブランコを縦横無尽に飛びまわる。
まるで白い大きな鳥のようだと、見上げるルビーは思った。
天井の横に取り付けた明かり取りから差してくる反射光で、空中でのブランコ乗りの顔がよく見えた。その整った横顔は、今までルビーが幾度も見てきたイヤミなにやにや顔ではなく、一度も見たことのない真剣な表情をしていた。
時にはブランコではなく、垂直に下ろしたロープに片手でつかまっただけの状態で次に飛び移ったりもした。まるで落ちかけているような演技を見せたあと、さかさまの状態で片足をロープの端に引っかけることで天井に留まって見せたときは、あちこちで大きな悲鳴が上がった。
ブランコ乗りの空中技は、死と隣り合わせのとても危険なものだ。それでいて所作の一つ一つは洗練され、美しさを損なわない優雅な動きをする。人々はそれに魅了され、酔いしれるのだとルビーは知った。
舞姫の舞(まい)は楽器の演奏つきで、しかも四人の男性バックダンサーつきだったので、貴婦人の前で見たものとは全く趣(おもむき)が違っている。そして、バックダンサーが舞姫を宙に投げて受け止めるというアクロバットがついていた。
ルビーはたくさんの観客の、おお、というどよめきの中で、目を瞠(みは)り、彼らの芸を見続けた。
大ホールでの演目は、基本的に鍛錬の賜(たまもの)だ。ちゃんとした演目として見るのは初めてだったが、ルビーは彼らが夜間などに人知れず練習を続けているのを知っている。
空中ブランコ乗りが出てきたときの声援はひときわ大きかった。わけても女性の黄色い歓声がすさまじい。彼は舞台で気取ったお辞儀をしたあと、梯子をするすると登って天井に取り付けてあるブランコにぶら下がったと思うと、次から次へと、違うブランコに飛び移り始めた。普通に飛ぶだけではない。アクロバティックに身体をひねったり、逆さになったり、丸くなって中空を回転したりしながら、幾つものブランコを縦横無尽に飛びまわる。
まるで白い大きな鳥のようだと、見上げるルビーは思った。
天井の横に取り付けた明かり取りから差してくる反射光で、空中でのブランコ乗りの顔がよく見えた。その整った横顔は、今までルビーが幾度も見てきたイヤミなにやにや顔ではなく、一度も見たことのない真剣な表情をしていた。
時にはブランコではなく、垂直に下ろしたロープに片手でつかまっただけの状態で次に飛び移ったりもした。まるで落ちかけているような演技を見せたあと、さかさまの状態で片足をロープの端に引っかけることで天井に留まって見せたときは、あちこちで大きな悲鳴が上がった。
ブランコ乗りの空中技は、死と隣り合わせのとても危険なものだ。それでいて所作の一つ一つは洗練され、美しさを損なわない優雅な動きをする。人々はそれに魅了され、酔いしれるのだとルビーは知った。