俺様系後輩からは逃げられない?!
俺様系後輩の言いなり?!
私は日向 小春(♀)
高校2年生
周りは彼氏が〜とか
浮いた話ばかりだけど
そんな話とは無縁の私
最近の話題といえば
「キャー!純ちゃんカワイイ〜!このお菓子も食べて食べて♡」
女子たちが騒いでいる…
その原因がそう…
今話題の天原 純(♂)である
容姿はカワイイ感じの甘党男子
身長は…多分私と同じくらいかな?
推定160cm…
「ん!これ美味しいね!こっちのも……うん、美味しい!」
天原純はあの可愛い顔で幸せそうにカップケーキを頬張っている
「純ちゃ〜ん、また作ってくるから食べてくれる?」
「うん、もちろん!」
天原 純は天使のような笑顔で言った
「カワイイ〜♡ありがとね!」
「はーい!…あ、もう、こんな時間だ!僕、人待たせてるから行くね」
「ばーいばーい♡」
天原純は手を振って、その場を去って行った
おっと、私もゴミ捨ての途中だった
ん?
あれは天原 純?
天原 純がゴミ捨て場にいた
天原 純はキョロキョロしている
すると
さっきもらっていたお菓子を、サッと捨てた
私はビックリした
性格がいいとか思っていた訳ではなく
甘党がお菓子を捨てていることに驚いた
私は咄嗟に隠れた
すると天原 純がこっちに向かって歩いてくる
どうしよう…
私はとりあえずしゃがんだ
運が良ければ気付かずに…
「おい」
「へ?」
私は上を見上げると
天原純がポケットに手を入れてこっちを見降ろしている
「お前、 さっき俺のこと見てたよな?」
「い、いいえ!」
私は目線をそらして首を振った
天原純はしゃがんで
壁に手を付いて 私を覗き込んできた
さっきまでの瞳とは違う
可愛さのカケラもなかった
そこには男の人の顔
「見たよな?」
「み…見ました」
自分の顔が青ざめていくのがわかる
「お前、名前は?」
な、何で名前なんか訊いてくるの?
と思いながらも恐る恐る答えた
「……日向…小春」
天原純は私の名前を聞いて
今度はニヤリと笑った
「ふーん…」
そう言うと今度は
女子たちに向けていたあの笑みになった
「小春せーんぱいっ」
「な…なに?」
チュッ
…え、今…
天原純、私に…キスした?!
私は一瞬固まってしまった
天原純はニコっとしている
私はハッとした
「何するのよっ!」
そして天原純を睨んだ
だが天原純は
子犬のような瞳でこっちを見つめ、瞳を潤ませている
私はそれを見て、申し訳ない気持ちになった
「あ、ご、ごめん。きつく言っちゃったかも…」
……ニヤリ
天原純は不適な笑みを浮かべた
「小春先輩、面白いですね」
か…からかわれた…
「覗き見なんて、悪趣味だよね」
何も言い返せない
完全に天原純のペースだ
天原純は私の耳元に近付いてきた
「小春先輩、これからは俺の言いなりだからな」
耳元でボソッと囁かれた
くすぐったかった
「い、言いなり?」
「そう、言いなり。さっきのこと誰かに漏らしたらどうなるか覚えとけよ」
顔と顔とが10cmもないくらいの距離で
何だか恥ずかしくもなって
顔が熱くなってきた
「先輩、顔赤いよ?か〜わいい〜」
「もうっ、からかわないでよ」
「からかってないよ、全部本当だって」
突然、真面目な顔になる天原純
色んな顔があって
吸い込まれてる気持ちになる
「だから、俺と約束しろ。じゃなきゃもう1回キスするぞ」
またキスなんて御免だよっ!
「わ、わかったから!」
すると純は立って、ニコっと笑って
「じゃあね、小春先輩!これからよろしくね!」
そう言って
天原純は去って行こうとした
いや、よろしくなんて嫌だよ!
「あ、あの、天原くん!」
天原純は振り返ってこっちを見た
「純って呼んでよ!!」
「え、じゃあ…純くん?」
すると天原純は少し驚いたようだった
…と思ったら今度はあどけない笑顔で
「なーに?小春先輩」
その笑顔を見て
言いたいことを忘れてしまった
「い…や、何でもない」
「そ?じゃ、またね!」
そう言って天原純は今度こそ去って行った
本当にこれから
あの俺様な後輩の言いなりに
なってしまうのだろうか…
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