俺様系後輩からは逃げられない?!




----花火大会当日




「お母さん、今日の夜ご飯いらないから」


「なに、花火大会行くの?」


「うん」


「何着て行くの?」


「え、適当な服で…」


「あんた花の女子高生でしょ!浴衣着て行きなさい」


「いや、そんなもの見せる必要は…」


「何、あんたもしかして男の子と行くの?なら尚更じゃない!ほら、浴衣着付けしてあげるから!」






…という感じで

私は浴衣を着ることに…



天原純に見せる必要ないのに…








「………出来たわよ!うん、いい感じ!」



私は鏡を見た


桃色と白色の生地に赤い花びらの柄

髪も下でお団子にして
コサージュがついている

化粧までしてもらった



自分が自分じゃないみたい!



なんだかワクワクしてきた








…天原純…何て言ってくれるかな?







…なっ何考えてるんだろ私ったら…



別にあいつに何か言われたって
別に嬉しくないだろうし








「それはそうと、小春、時間大丈夫なの?」



そう言われて時計を見ると
既に待ち合わせの時間に10分遅れていた




「やばい!」



花火大会の場所まではそんなに遠くないけど

どれだけ頑張っても10分はかかる




20分も遅れたことになる!





遅れるって連絡しようにも

そういえば天原純の連絡先知らない






あいつ絶対怒るよ…






「いってきまーす」


「いってらしゃい」



私は家を出て、走ろうとした時





「小春先輩、何してんの」







…まさかこの声は…





天原純?!




「あっ、あんた何でここに?!」



「俺待つの嫌いだから。それにその格好で走ろうとすんなよな」



「…は、はい。…じゃなくって、何で私の家知ってんの?」



「先輩と帰ってる時、途中でわかれるよう見せかけて後ろから見守ってたの」






…それ、ストーカーっぽいけど





「それより先輩、連絡先交換しときましょ」




今日みたいなの
またあったら困るからなぁ…



「う、うん…」





チラッと天原純の顔を見ると


怒った顔つきではないし
笑ってもいない

普通の顔をしている







…何かたくらんでるのかな




連絡先の交換も終わり、天原純が花火大会が開催されている方に指を差して言った



「じゃ、行こっ」



「うん…」




私と天原純は花火大会の会場へと歩き出した






……





あれ、今日は会話がないな…





…そうか


いつもは天原純が沢山話題ふってくれてたんだな






そういえば

私10分遅れてたけど

天原純が家の前で待ってたから…



もしかして、コイツ一瞬も
約束の場所で待たなかったんじゃない?


…いや、約束の前に会場に着いてたら、待ってたことにはなるけど


約束の時間になったら
こっちに向かってくるのもどうなんだ…


入れ違いになる可能性だってあるのに…





コイツ、待つの本当に嫌いなんだな








「先輩何食べる?」



「うーん、ソースものは汚れるからなぁ…あ、唐揚げ食べたい!あとりんご飴とか」



「俺も唐揚げ食べたいな〜他何食べようかな」











あれ?



そういえば




天原純からこの格好について

何も言われてない…






いつもなら


敏感に反応してくるのに

何だか今日の天原純は

いつもと違う





それに何も言われないと

変な感じ

なんだか悲しく感じる…

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