俺様系後輩からは逃げられない?!
…スキ
「久しぶりね、純、半年ぶり?」
「そうだな……何でここにいんの?」
「何でって、花火見に来たに決まってるじゃない」
「…誰と来たんだ?」
「ん?彼氏よ。そうそう、私達、他の所行くからこの場所使いなよ、じゃあまたね」
天原純は険しい顔をして黙っている
希奈と呼ばれるその人は去って行った
天原純はそのあとを見つめたまま…
「純くん?」
そう呼ぶと
天原純はハッとして
「ごめん。せっかくだし、この場所で見よう」
「うん…」
私と天原純はそこに座った
花火が沢山打ち上がる
私は時折、天原純の方を見ると
天原純は花火を見上げたまま
切な気な瞳をしている
「…あの人、誰なの?」
天原純は少しの間黙っていた
もしかして聞こえなかったのかな?と私が思った瞬間
「…元カノ」
その言葉は
予想以上に私の胸を苦しめた
すると
天原純は今までの空気はどこへ行ったのかというほど笑顔で
「もう全然関係ないけどね〜」
「…そう…なんだ」
……あんな切ない顔してたのに
その笑顔で言った言葉は本物なの?
でも、そんなこと
いざとなったら訊くことなんて出来ない
私達はその後、
打ち上げられる沢山の花火を見上げていた
……
花火大会も終わる頃
「そろそろ帰りますか」
「…そうだね」
「小春先輩どうしたの?」
「へ?」
「何かさっきから元気なさそうだけど…。あ、わかった!もしかして元カノ登場で焦ってるんでしょ!」
「は…はあ?」
それはもちろんその通りだけど
そんな風に言えるくらいのことだったのかよ!
…と思ってしまった
「そんな照れんなって!あ、そうだ先輩、今度は海行こう!」
「照れてないし!海とか日焼けするじゃん。てかあんた夏休みの課題もあるんだからさ」
「じゃあ勉強会しよ!」
「まぁそれならいいけど」
一緒にいれるだけで嬉しいけど
それを素直に言えない自分に腹が立つ
海だって、日焼けを気にして
せっかく誘ってもらったのに…
「でも…やっぱり海行きたかったな…」
え、うそ…
あっちからまた言ってくるなんて
内心すごく驚いたけど、嬉しくて、
今度こそと思って
「…そんなに行きたいんだったら、行ってあげてもいいけど」
あーーもう!
私ったら何でこんな言い方しか出来ないの?!
すると
天原純はニヤニヤして
「やっぱり小春先輩も行きたかったんじゃん。かーわいい〜!」
「からかわないでよ!と、とにかく日程はメールしてよ!」
「はいはい。俺の可愛い可愛いお姫様」
そう言って
天原純は私の手を取り、繋いだ
何か言おうにも
顔が熱くてきっと真っ赤だろう
だから
私はただ黙って、ぷいっとする
元カノのことも不安ではあるけど…
でも
私には
彼を信じるしかできない