俺様系後輩からは逃げられない?!
好きなの?




今、女子の間で評判の甘党男子
天原 純。



そんな彼が女子から貰ったお菓子を
こっそりと棄てている現場を目撃してしまった私、日向 小春。



私は脅されて
彼の言いなりになることに…



…それがつい昨日のことだった





天原 純の誰も知らない素顔



それは俺様系甘党男子だった!!




しかも、言いなりって言っても
本当にパシリになるのかな…


でもさすがに朝から会うことはないだろうけど…


「小春せーんぱーい!」


後ろから声がする…

この声には聞き覚えがある…


私が振り返る間も無く、彼は私の隣に来た


「おはようございます!」

「お、おはよう」

「じゃ、今日は日直なんで、お先失礼しますね。では!」





あれ?



なーんだ、意外と普通じゃん!



よし!このまま私も
天原純のことを誰にも漏らさず
これから何も起きなければ…






----昼休み






いやー意外と余裕だ!

問題は放課後だろうけど…


すぐ帰ってしまえば
何も起きるはずがない!!!


「小春せーんぱーい!!!!」







嘘だろ………




「お昼一緒に食べましょー!」









誰か冗談だと言ってくれ…





女子たちが騒ぎ始めた



親友の茉実が慌ててこっちに来た

「小春どうゆうこと?いつの間に純ちゃんと仲良くなったの?」


「い、いや〜えっと…」




天原純が笑顔で私を見ている


だが、その瞳は笑っていない…


バラすなよと言わんばかりに……



「と、とりあえず、待たせてるし…行ってくるね!」

「あ、小春ー!…もおっ!」



私は天原純のもとに駆け寄った


「じゃあ行こう!小春先輩」

「う、うん、行こう!」




私は天原純に続いて歩く


「どこいくの?」

「屋上だよ」

「え、屋上って立ち入り禁止じゃ…てか屋上って開いてるの?」


天原純は私の方に振り返り、人差し指を口に当てて笑った

「しーー」


女子たちの前で浮かべる
あの子供っぽい笑顔はなく

そこには昨日のような
男の人の顔があった



ガチャッ


屋上の扉が開いた

本当に開いてるんだ…
誰も知らないだろうな
普通開いてないはずだし…



すると天原純は
レジャーシートを取り出して敷いた


私は驚いた顔をしてしまったようで
それを天原純に見られていた

「……なに、敷いちゃ悪い?」

「いや…ちょっとビックリした」

「そりゃ敷くでしょ、汚いし」

「潔癖性なの?」

「別にそこまでじゃない」



ん?
天原純は何故か拗ねた顔をしている

「純くん、どうしたの?」

「別に…」


ふーん…やっぱり子供っぽいな
さっきまでの男の人はどこ行ったよ



シートに座って、お弁当を開ける




ふと、天原純の方を見ると
菓子パンだらけだった



「え、それお昼?甘い物ばっかりじゃん!」

「…仕方ないじゃん。みーんな俺のこと甘い物しか食べないと思ってるし…」

「え、お母さんもそう思ってるの?」

「母親いないし…」



うわ、なんだか聞いちゃいけないことに
足を踏み入れてしまったかも…





うーん……




「じゃあ、これ食べなよ。そっち私にちょうだい!」


私は無理矢理に自分のお弁当を
天原純に押し付けて、菓子パンをとった


「え?」

「いいから食べて!」

「いいって…」

「いいから!」


私は天原純の口に玉子巻きを無理矢理入れた



天原純は渋々食べてくれた


と思ったら…




「うまっ!!」


「本当?よかった!他のも食べて食べて!!」



天原純は私の瞳をじっと見つめて言った


「さっきみたいに食べさせて」


天原純は口をアーンと開けている



私が固まっていると

天原純は私の肩に腕を回して



「俺の言うことがきけないの?」


固まっている間に
引き寄せられている気がする



「じゃなきゃ食べないよ?」




仕方なく、アーンして食べさせた




美味しそうに食べてくれた





「これから毎日作ってくる?」

「え、自分で作ってるの?」

「うん」


天原純は照れたように

「じゃあお願いします…」



なんだか可愛いな







すると天原純は


「俺さ、よく可愛いとか言われてるけど、子供扱いされるの大嫌いなんだよね。確かにこんな容姿だけどさ」



そっか…
そりゃ、そうだよね、男の子だもん



「だから、小春先輩が『くん』付けで呼んでくれたから…凄く嬉しかった」




天原純は下を向いている




私は天原純の顔を覗き込むと

赤面していて、耳まで真っ赤だった



「おい、今俺の顔見んなって」



必死で顔を隠そうとする天原純


私は面白がって顔を覗こうとした







すると急に…




ガチャッ



屋上の扉が開いた


扉の方を見ると




メガネの男子生徒が出てきた






私は胸が騒ついた

顔が赤くなるのもわかった






それは私が
そのメガネの人を好きだから





天原純は咄嗟に私の方を見て

そしてまたメガネの人、澤谷 肇を睨んだ




…何だか嫌な予感…



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