蜃気楼の国
女は禁忌を犯した。

神をその身に宿すことが正しくないだなんて最初からわかっていた。

それでも女は目の前で消えゆく命を見捨てることが出来なかった。

女は住処を失って、当てどなくさ迷うことになる。

神を信じ、人を愛する彼女はそれでも何も恨まなかった。

自分の体がおかしくなっても微笑みを崩さなかった。

女の笑みに救われていた人々は彼女の微笑みを怖がるようになり。

女は何度も一人になった。

それでも女の目標は揺らがなかった。

神を信じ、人を愛し続けた。

そして女は一人で歩き続ける。

その身にシルバーを宿らせて、神を救った女は生きる。
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