蜃気楼の国
その後もう一度眠ってしまった女をジャンケンに負けた澪が背負って、彼らは最寄りのオアシスまで引き返した。

「この女、眠ってばっかじゃん」

赤茶の髪を掻きながら退屈そうに煉都が言う。

それに同意するようにルビーの指輪が光り手の平くらいの大きさの童女が現れる。

「あたいもそう思うのー、ずるいのー」

小さな手でぽかぽかと女を殴る彼女を澪がやんわりと窘める。

「彼女、軽すぎるんだよ。病気なのかもしれない」

澪が女を柔らかい草の上に寝かせると皆が彼女を取り囲む。

四人の人間と四人の石霊が興味深そうに見守る中、再び女は目を覚ました。

「おはようございます。……えと、皆さん誰ですか?」
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