誘惑して、キス
「え、えろ……」
……えろい女!!
何それ、どういうこと?えろいって、突然脱ぎ出しちゃうとか!?そ、そんなのムリだ……。
でも先生のためなら……、いやいややっぱりそんなこと。
様々な考えが、頭をぐるぐると巡る。
「ちょっとぉ、先生ったらサクラちゃんに何言ったのよぉ」
「サクラちゃん、顔真っ赤よ?」
お姉さま方のそんな会話を聞き取る余裕もなかった。だって今、私の頭の中はエロで埋め尽くされているのだから。
……えろい女、そうか、どうやってなれるかはわからないけど、目指してみようかな……。
そんなことを考えながら、目を閉じる。壁に背中を預け、深呼吸。
あぁ、本当に今日は酔ってしまったみたいだ。
「おい、寝るなよ」
大好きな先生の声にも今は反応出来そうにない。
私の意識はゆらゆらと旅に出るように薄くなっていく。行き着く先は、どこだろう。
最後に耳に入った先生の声を、私は理解することが出来なかった。
「おい起きろ」
ゆらゆらと揺れている。まるで揺りかごのようだ。
「おい」
声が聞こえる。私の大好きな声。低くて、優しい声。
「いい加減にしろ」
「……はっ、」
私を見つめる優しい目、……と言いたいところだけど、今は全く優しくない目をしている。
私も仕事中の、あの優しい目で見てほしいのに。
「子どもじゃないんだから、すぐに寝るクセやめろ」
「……だって、お酒飲むと眠たくなっちゃって」