この甘き空の果て
亮の顔を見てるうちに、ぽろっと出てきた涙を手の甲で拭いて、わたしは、なんとか笑ってみせた。
「築島 亮(つきしま りょう)大尉。ご生還、おめでとうございます」
マニュアル通りの堅い挨拶しかしないわたしに、不満なのか。
彼は片眉をひょい、と上げて、え~こほん、と喉を鳴らすと彼にしては格式ばって答えた。
「楼羅·ブランカ博士の設計した戦闘機体が、今回も実に調子良かったデス。
弾に当たっても最後まで良くもってくれたから、機体は落ちても俺は生きのびたんだ……デス」
この戦闘で生き残ったのは、俺だけだったけどな。
なんて、亮は一瞬、寂しげに目を伏せてから、わたしの目をまっすぐに見た。
「いつも、俺の命を守る機体を作ってくれて、ありがとな」
彼はそう言ってくれるけど、ううん。
いつだって、わたしの方が、亮に守られているんだ。
豊かな西国と、貧しい東国が戦争を始めてどれだけ経ったのかな?
二つの国が友好関係を結んでいる時に、わたしは産まれ、東国で亮と育った。
わたしが新型飛行機を開発する企業に研究者として就職し。
亮が東国の空軍パイロットに落ち着いた所で、戦争が始まった。
戦いが激化して、両国のハーフだったわたしが迫害に合う寸前。
わたしが設計した新型戦闘機に亮が乗り。
誰よりも敵の飛行機を落とすことで、わたしを『東国の人間』として、周囲に認めさせてくれたんだ。
「築島 亮(つきしま りょう)大尉。ご生還、おめでとうございます」
マニュアル通りの堅い挨拶しかしないわたしに、不満なのか。
彼は片眉をひょい、と上げて、え~こほん、と喉を鳴らすと彼にしては格式ばって答えた。
「楼羅·ブランカ博士の設計した戦闘機体が、今回も実に調子良かったデス。
弾に当たっても最後まで良くもってくれたから、機体は落ちても俺は生きのびたんだ……デス」
この戦闘で生き残ったのは、俺だけだったけどな。
なんて、亮は一瞬、寂しげに目を伏せてから、わたしの目をまっすぐに見た。
「いつも、俺の命を守る機体を作ってくれて、ありがとな」
彼はそう言ってくれるけど、ううん。
いつだって、わたしの方が、亮に守られているんだ。
豊かな西国と、貧しい東国が戦争を始めてどれだけ経ったのかな?
二つの国が友好関係を結んでいる時に、わたしは産まれ、東国で亮と育った。
わたしが新型飛行機を開発する企業に研究者として就職し。
亮が東国の空軍パイロットに落ち着いた所で、戦争が始まった。
戦いが激化して、両国のハーフだったわたしが迫害に合う寸前。
わたしが設計した新型戦闘機に亮が乗り。
誰よりも敵の飛行機を落とすことで、わたしを『東国の人間』として、周囲に認めさせてくれたんだ。