幼なじみの彼と彼女
「あれ、桜ヶ丘…?」

校門から女の子が出てくる度にボーッと校門を見つめている祥太郎に視線がいく。

この人の流れを見ていると。

まだ梓は出てきていないはずだ。

祥太郎はじっと人の出入りを見つめる。



「柏原くん?」

聞き慣れた声が後ろから聞こえた。

振り返ると紀香がいる。

「どうしたの?」

紀香は祥太郎の姿を発見すると慌てて駆け寄って来たらしい。

肩で息をしていた。

「梓を、迎えに来たんだ」

そう言って視線を門に戻す。



やがて梓が校門から出てくる。

そしてその後を追いかけてくる体格の良い男子。

「あっ…」

紀香の顔が曇った。

祥太郎は紀香のその様子を淡々と見つめていた。



…あいつか。
< 109 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop