幼なじみの彼と彼女
「今日はありがとう」

クリスマスパーティーは楽しく過ごせた。

祥太郎がお礼を言うと総一がまたいつでもおいで、と言って笑った。

外は雪が降っている。



3年前も、雪がちらついていた。

祥太郎の兄が亡くなって。

ちょうど3年が経つ。

祥太郎は止むことのない雪を降らすどんよりと厚い雲を重ねる空を見上げる。

複雑な想いが胸を駆け巡る。



帰り道。

梓と黙って2人、雪の中を歩く。

祥太郎はそっと梓の手を握った。

手袋をしていないので冷たい。

梓も祥太郎の手を握り返す。

ようやくお互いの顔を見て微笑んだ。
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