幼なじみの彼と彼女
「…なんで」

祥太郎の顔が引き攣る。

「なんであいつが来るの?」

一応、言っておこう、と報告した梓は祥太郎の部屋を訪れたけど。

祥太郎は今までに見せた事がないくらい不機嫌になった。

「…わかんない」

「じゃあ、お前、来なくていいよ」

パラソル持ちを頼んだのは祥太郎なのに。

来なくていい、なんて。

「祥ちゃん…」

祥太郎は頭を抱えて目を閉じた。

そして呼吸が乱れる。

梓は慌てて祥太郎の体を抱きしめた。

けれど、祥太郎は強引に振り払う。

梓が部屋の端に飛ばされて。

梓の目からぽろぽろと涙がこぼれる。

それを見てようやく我に返った祥太郎は慌てて

「ごめん、大丈夫?」

梓を起こしたけれど、梓の涙は止まらなかった。
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