幼なじみの彼と彼女
梓は唇を噛み締めた。

祥太郎を見つめると祥太郎も梓を見つめて

「今まで束縛してごめん。
態度も言葉でも…
もう、これからは梓のやりたいようにしていけばいいから」

祥太郎は立ち上がった。

「祥ちゃん、ちょっと待って!」

梓も立ち上がる。

「俺、梓といると甘えてしまうから。
ダメなんだよ、そういうのは。
これから先、上を目指さないといけないのに。
このままじゃ俺もダメになるし、梓もダメにしてしまう」

祥太郎は切ない笑みを浮かべた。

「…俺よりもあいつといるほうが、梓も高校生活、楽しくなると思うよ」

「そんな事、言わないでよ!」

梓は目に涙を浮かべる。

そんな風に言われたくなかった。

祥太郎は首を横に振った。

「今日は本当にありがとう。
最後に一つだけ、俺のワガママを聞いてくれる?」

梓はじっと祥太郎を見つめた。

祥太郎はそっと梓の頬に手の平をあてて唇にキスをした。



まさか。

お互いのファーストキスが別れのキスになるなんて。
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