幼なじみの彼と彼女
翌日は朝から雪が降っていて、梓は寒さで目覚めた。

と、同時に玄関のチャイムが鳴って梓の母が出る。

「祥ちゃん、どうしたの?」

母の大声に反応して、梓は飛び起きた。

慌てて玄関先に行くと。

「…さっき、兄ちゃんが死んだ」

「…拓海くんが死んだってどういう事?」

梓の母は泣き崩れた祥太郎を抱きしめる。

「夜中…車に追突された…」

祥太郎の言葉は泣き声と共に消えていった。



「嘘だ…
昨日、拓ちゃんは真由ちゃんを送っていったよ?」

あの笑顔と仕草が。

最後だったなんて。



嘘だって言って欲しいのに。

祥太郎は言ってくれなかった。
< 38 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop