幼なじみの彼と彼女
「俺は反対だよ」

レースのない時はお店で整備士をしている総一。

今日もまた休憩する間もなく、バイクの修理やメンテナンスをしている。

ピットで作業している総一に進路の事を話すと総一は手を止めて横に立つ祥太郎を見上げる。

「まあ、確かに今から専念すればお前なら世界でも有名なライダーになるだろうね。
でも…今しか出来ない友達とか、今の年齢だからこそ出来ない事もあるんだ。
俺はそういう事を経験してから自分の行きたい道目指す方がいいと思う」

総一はそう言って再び作業を続けた。

「でも、それじゃあ遅くないかな?」

「じゃあ、高校を卒業してから世界に挑戦している光はどうなる?」

光…住吉 光。

祥太郎の兄、今は亡き拓海の友達。

高校を卒業してすぐにイタリアに渡った。

「…遅くないだろ?
高校3年間くらい、その時に出来ない事もしておけよ、損はしないから」

総一の言う事はもっともだ。
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