幼なじみの彼と彼女
高校の制服姿よりもうんと似合っている。

開幕戦にやって来た梓はレーシングスーツに身を包んでいる祥太郎を見てそう思った。

そして。

ファンも多い事を確認した。



サーキットを走る祥太郎を見るのは。

小さい時以来なので、少し緊張していた。

また祥太郎もこのシーズンからGP125からGP250へと変わっていて緊張しているのがわかる。

「梓ちゃん」

総一が走行している祥太郎を見ている梓に声をかけた。

「祥太郎は想像以上にいい走りをしているよ」

「そうなんですか?」

あまりよくわからない梓は総一に尋ねる。

「うん、あいつ、このクラスは初めてだけど、マシンを上手く操っているよ」

梓は目の前を猛スピードで通過していく祥太郎を目で追うのに必死で。

本当に何が何やらわからなかったけど、一つはっきりした事が。

やはり祥太郎は普通の高校生ではない。

想像出来ない所で彼は生きているんだな、と思った。
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