実験→作用→その結果
とんだフルコースにプチどころかMAXパニックでフリーズする私に、清良さんは更にデザートまでご用意して下さった。
「で。この指示書によるとここで甘い言葉を吐けとあるが、具体的にはどんなセリフなのだ。俺様系だとか、嫉妬に駆られて、とかあるが俺にはさっぱり分からん。」
と言うワケで御口授プリーズ、と目で訴えられても私だって困る。
しかし全ての工程を為し終えるまで実験が終わりそうもないので、私は酸欠気味に口をパクパク動かしながら、漸う言葉を絞り出す。
「し、シチュエーションによるとっ、思いますけどっ…無難に褒めとけば良ろしいかとぅっ」
「よしきた。褒める、んだな。」
意気揚々と頷いた清良さんは、褒め処を探すべく、ヒタリと私の瞳に視線を合わせる。
長い睫毛に彩られた黒々とした瞳。
黒くて深くて、とても澄んでいて吸い込まれそう。
毛穴云々も気にしていられない状況。
心臓はもはや崩壊寸前。
足もカクカク。
………ヤバイ。
昇天してしまいそう―――
「………………………………。」
しまいそう、というか既にしてしまったんだろうか?
見詰めていた黒曜石はさっきよりずっと距離を縮めてそこにある。
そして私の唇に触れる温かい感触。