ロンド~輪廻~
その日の少女は元気がなかった。
「どうしたの?」
少年は心配して何度もたずねたが、
少女の答えはきまって
「なんでもないよ…」
だった。
精一杯の笑顔で答えてくれるので、少年はそれ以上聞けなかった。
少女の様子が気になったのでその晩、少年は少女に電話する事にした。
(プルルル…プルルル…ガチャ)
2コールで出たが、受話器の向こうの少女は泣いていた様子だった。
「どうしたの?」
少年は慌てて昼間と同じ質問をする。
「実はね…私、転校するの…」
少年は少女の言葉に耳を疑った。
あまりの衝撃に頭が真っ白になった。
何も言えずに少年は電話を切った。
翌日、少女は転校して行った。
父親の転勤の都合との事だった。
こうして少年の夢のような一時は終わりを告げた…