ロンド~輪廻~
「守ってあげられなくてごめん…」

少年は真夜中の高校の屋上で呟く。

父親の転勤と聞かされてはいたが、少年はそれが真実とは思っていなかった。

《きっと彼女はイジメられていたんだ…だから転校せざるを得なかった…そうに違いない…》

根拠はなかったが、少年はそう確信していた。

少女がいなくなってからの生活は地獄のようだった。

少しの間とはいえ、一度あの輝かしい日々を過ごしてしまった少年にとって、元の生活は辛すぎた…

何よりも少女がいない事が耐えられなかった…

冷たい風が吹き付ける屋上で、少年は目の前に広がる暗闇をじっと見つめていた。

「この暗闇にボクが飲み込まれても、キミを想う気持ちは消えない…」

少年はそう呟くと、自分身長と同じ高さの柵を飛び越えて暗闇に消えた。

翌朝、用務員により発見された少年の遺体は不思議と笑っているようだった…
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