その顔を見せないで
建築資材を扱う我が社で経理をする私の楽しみは、この場所から対角線上に机のある、5つ年上の工藤さんの顔を見る事。
顔だけでいいの。
その顔が好きなの。
性格は、女好きで適当で遊び人って聞いたから
彼女になりたいとか
そんなのはいいの
ただ困った事に
顔が超ストライクなの。
ジッと見てると
工藤さんが電話を終わらせて顔を上げる。
ヤバい!
目が合いそう!
私はその場に座り込み
忍者のように
キャビネットの裏に隠れて息を殺す。
あぁ
困ったもんだ
この私。