その顔を見せないで
そんな ある日の事
「僕と付き合って下さい」
残業帰り
会社を一歩出ると大きな影。
ショールーム担当の国枝さんが、私を待っていてくれた。
あまり話した事はないけれど
二つ上で
マジメで責任感があって
背が高くてガッチリ系で
周りの評判もよく
いい人だ
いい人だけど
顔が……普通。
はっ!
何て失礼な!
自覚しなさい。
自分の顔を自覚しなさい。
人間は顔じゃない。
性格だ。
分相応という言葉もある。
いやいや
それも上から目線でしょう。
こんな私に声をかけてくれたなんて
ありがとうございます。
工藤さんの綺麗な顔は忘れよう
現実を見つめよう。
私は「まずはお友達からお願いします」と、返事した。
これから
ゆっくり好きになればいい。