【完】強引に、キス


しばらくして、俺もだいぶ気持ちが冷静になってきたから、男を離した

「………二度と音亜に近づくな。音亜は誰にも渡さねえ」


俺がそう言って施設に戻ろうとした時、男はフラフラになって立ちあがる


「…ッ………サンキュ。お前のおかげで、目が覚めたよ…」

「あ?」

俺が振り向くと、男は切れた唇から出る血を親指で拭うような仕草を見せて、怖いくらい別人の笑顔を見せた。

「おま…」

「五十嵐悠雅だ。俺も、お前にぜってえ!音亜は渡さない」


五十嵐はそう言って俺に背を向けて去っていった



< 152 / 247 >

この作品をシェア

pagetop