【完】強引に、キス


トントン


「音亜ー。朝だぞ起きろー」


「んー…」


朝、一緒に施設で育ってきた1つ下の幸司(こうじ)が、部屋の前まで起こしに来てる


ガチャ

「起きた。ありがとう」


扉を開けてそれだけ伝えると、扉を閉めて支度を始める。


ふと携帯に目をやると、五十嵐からラインが来てた

“昨日の所で待ってる”


私は慌てて制服を着て、外へでた。


今の時間、7時20分。

ラインが入っていたのは約1時間前の6時。ないとは思うけど…もしかしたら


私は必死に走って昨日、五十嵐とぶつかった場所に向かう。


「や、ッやっぱり!」


私の目の前には、腕と足を組み道の脇のベンチに腰かける五十嵐が。


「…おう」

「何時から居たの?!」

「んぁー、6時すぎ?」

呑気にそう言う五十嵐

「バカ!?私いつも家出るのこの時間なのっ!」

「そうなのか。いや、音亜何時に家でるか分かんねえし、昨日と同じかなって思ったけど音亜、日直だし速くでるかもって」


五十嵐は手に持った缶コーヒーをゴミ箱に捨て、歩き出す。


私が今日、日直な事わかってたんだ。いつもホームルーム寝てるか音楽聞いてるから、少し驚き。


「あ、ちょっと人の話きいてんの?!」


私が叫ぶと、五十嵐は振り返る

「なるよ。音亜は俺の女に」


余裕ぜんかいの五十嵐に苛立ちながら、私も五十嵐の後ろを歩く。


「ちょ、そんな事きーてないっ……もう!」


学校までの道のり約40分。

< 20 / 247 >

この作品をシェア

pagetop