【完】強引に、キス
トントン
「音亜ー。朝だぞ起きろー」
「んー…」
朝、一緒に施設で育ってきた1つ下の幸司(こうじ)が、部屋の前まで起こしに来てる
ガチャ
「起きた。ありがとう」
扉を開けてそれだけ伝えると、扉を閉めて支度を始める。
ふと携帯に目をやると、五十嵐からラインが来てた
“昨日の所で待ってる”
私は慌てて制服を着て、外へでた。
今の時間、7時20分。
ラインが入っていたのは約1時間前の6時。ないとは思うけど…もしかしたら
私は必死に走って昨日、五十嵐とぶつかった場所に向かう。
「や、ッやっぱり!」
私の目の前には、腕と足を組み道の脇のベンチに腰かける五十嵐が。
「…おう」
「何時から居たの?!」
「んぁー、6時すぎ?」
呑気にそう言う五十嵐
「バカ!?私いつも家出るのこの時間なのっ!」
「そうなのか。いや、音亜何時に家でるか分かんねえし、昨日と同じかなって思ったけど音亜、日直だし速くでるかもって」
五十嵐は手に持った缶コーヒーをゴミ箱に捨て、歩き出す。
私が今日、日直な事わかってたんだ。いつもホームルーム寝てるか音楽聞いてるから、少し驚き。
「あ、ちょっと人の話きいてんの?!」
私が叫ぶと、五十嵐は振り返る
「なるよ。音亜は俺の女に」
余裕ぜんかいの五十嵐に苛立ちながら、私も五十嵐の後ろを歩く。
「ちょ、そんな事きーてないっ……もう!」
学校までの道のり約40分。