【完】強引に、キス
»恋は突然に
それから毎日、放課後は屋上、朝はお迎えになった。
朝は学校の近くの公園で、別れて別々に登校する。ファンクラブから目をつけられない為なんだって。
クラスの皆は五十嵐が最近、朝早くから登校していることに驚いている。
いつも遅刻ギリギリだったり、サボったりしてたから
「いーなぁ、音亜は。あーんなイケメンな旦那に愛されて」
「ちょっと美亜!声でかいし、旦那じゃない!」
休み時間、美亜の尋問を受けている。
「えー、もう確実じゃん。音亜の第一印象なんて吹き飛んでるでしょ?」
うっ。確かに、今の私の中ではもうあの“怖い五十嵐くん”ではない。
毎日接するうちに、段々五十嵐が言う事は疑わなくていいのかな?と思えてきた。
相変わらずクラスの輪には入んないし、ファンクラブの女の子達には冷たい態度。
私がいつも見てる五十嵐が本当の五十嵐君なのかなって、…正直、惹かれ始めている。
「音亜、いま旦那の事考えてるでしょ」
「ばっちがっっ」
美亜がニヤニヤしながらそんな事を言うもんだからつい否定した後に五十嵐を見ると、寝ていると思ってた本人は、伏せて皆に顔見えない様にして私をみていたらしく、
目があって私は余計に顔が熱くなった。
美亜はそんな私の反応を見て楽しんでいる。
「ばか美亜。ばか五十嵐」
私はふてくされて、2人に挟まれた席で気まずく顔を伏せた。