【完】強引に、キス
放課後、いつものように五十嵐と屋上にいる。
「今日、香坂と何話してたんだ?」
数日前から、五十嵐は私の肩に頭を乗せてもたれる形で座るようになった。
もちろん、皆から見えない丁度死角になるところで。
「べつに…なにも」
「ふーん。…なぁ音亜、そろそろさ、本当に俺の女なんねえ?」
ダークブラウンの毛が、五十嵐が動く度に首にこすれてくすぐったい。
「やだ」
「なんでだよ、俺をこんな風に飼い慣らせんのお前だけだよ?」
五十嵐は頭を肩から離すと、私の目をじっとみつめてきた
「調子のんないで」
「んだよ、つれねーの」
また肩にもたれかかりながら、文句を言う五十嵐。
お前だけ。確かに、五十嵐がこんな風に甘えたり笑ったり、色んな顔を他の人といるときに見たことはなかった。
こんな奴嫌い。そう思ってたはずだけど今はなんだかんだ、この時間が楽しいんだよね