【完】強引に、キス


「お…とあ…?」


五十嵐は私の行動に驚いた様子


「…ごめんなさい」


五十嵐は私の言葉で何かを悟ったのか、体を離して私の目をみた

「…俺こそ、その、悪かった。お前が嫌がる事何かしたんだよな。まだ、俺の事怖いのに…無理やり…」


「違う。私…避けてたッ…。自分の…気持ち、隠そう…押さえようっ…て必死、で、五十嵐の気持ち、ぜんぜん、考えてなかった」

五十嵐は私の目からこぼれ落ちそうな涙を自分の服の袖でぬぐって話をきいてくれる


「私、怖かったの…、今まで怖いとしか見てなかったのに…五十嵐の事ずっと好きな人たくさん居るのに…私なんかが…って」

そっと頭をなでながら静かに話を聞いてくれる

「私ッ…かわいくヒッ…ない…しッ、ッ……ゥ…良い所ない…ゥしッ…でも、私、五十嵐の事」


ガシャンッッ

私がそこまで言うと、五十嵐は急に私の顎を上に向かせてキスをした。

屋上に続く重たい金属製扉に私と五十嵐の体重が重なった音が、誰もいない階段に響いた


「…ッン、ちょ…まっ」

「もう十分待った。…これ以上は、待てねえよ…」


五十嵐は私のことを強く抱きしめて、その手は小さく、少しだけふるえていた。


走ってきた五十嵐の体はまだ火照っていて、9月下旬にはまだ少し暑い


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