【完】強引に、キス
お風呂からあがり、浴衣に着替えて飲み物を買いに部屋の外に出た
なんだかんだで、時計をみると7時
あと30分でご飯の時間だ。団体って事で広間で皆でご飯を食べることになっているから早く行かなきゃと、足を早めていると誰かの声が聞こえた。
近づくと悠雅の後ろ姿が。
「あぁ、わかってる。あぁ、ちゃんとするよ、うっせーなぁ…」
誰かと電話しているみたいだけど、何時もの優しい声じゃなく、私が初めて悠雅をみた時の怖い声で話していたから気づかなかった。
「あぁ、わかってるってんだろ!」
悠雅は乱暴に電話をきり、舌打ちをして振り返った
「あ……」
悠雅と目があってとっさに顔をふせてしまった
「いたのか」
「ご、ごめんっ、聞くつもりは……なかったんだけど」
悠雅の声はいつもの優しい声に戻っていた。謝る私の頭に手を置いて顔を覗き込む
「…怖い?」
「う、ううんっ、大丈夫」
私が悠雅の服の裾を掴むと、悠雅はそっと抱きしめてくれた。
「大丈夫。悠雅の腕の中心地いいよ。怖くないから」
私は悠雅の無言で抱きしめる時の感情をなんとなく知ってる。たぶん…嫌われたくないんだ。
いつもは強引なくせにこの時だけ壊れ物を扱うような凄く優しい力で抱きしめる