【完】強引に、キス
私が初めて五十嵐くんを見たのは、入学式してすぐの事。
屋上に向かった私は扉を開くと、音に反応したのか振り返った人と目があった。
私はその場を離れなきゃと頭ではわかっていたのだけど、身体が動かなくて目がその人物からそらせなかった。
この世の中に、これほども冷たく危険だと感じる人物が本当にいるのかと思ったから。
彼は「なに」と一言を放ち、私はその言葉に身体が解放されて、怖くなり走ってにげた。
それから私はあの五十嵐くんの睨むような目を忘れることが出来ず、隣の席になった今も声をかけたことはない。