【完】強引に、キス
香坂は教室に入るなり、扉の内鍵を閉めて奥まで進んでくる。
「おい、どうしたんだよ」
香坂は無言のまま俺の腕を掴んで教室の奥、扉から死角になる場所に連れて行くと、勢いよく俺の唇にプルプルの唇を添えた。
そっとふれたかと思うと、すぐに離れてチワワみてぇに震えてさっきより紅くなった頬が目に入る。
「はっ、長谷やんのバカ!美亜だって……美亜だって大人だもん!だからっ」
今度は俺のネクタイを掴んで引っ張り、頑張るが解けないと思ったのか、今度はシャツのボタンをはずしだす。
「ちょっ、待て!」
俺は香坂の腕を掴み離れさす。
「なんでっ!美亜だって、り、旅行の日は驚いたけど、初めて……じゃないし大丈夫だもん!それに、長谷やんの事だれにも負けないくらいす……っ」
俺は香坂が最後まで言い切る前に香坂を抱きしめた。
「バカ!お前なに勘違いしてんだよ!お前は餓鬼じゃねえよ……。旅行の日お前が拒んだのも、ちゃんとわかってる。俺が悪いんだ。大丈夫だから……」
「じゃあ、この間のは?」
「あの生徒、ここで男といたんだよ。俺教師なのに叱る以前にお前との思い出の教室で他の奴が楽しんでんのにイラついて、相手の男まずいと思ったのか女置いて逃げやがった」
俺は香坂を抱きしめる手に力を入れた。
「あの状況じゃ、勘違いされても仕方ねえけど俺、お前が思うほど大人の余裕なんてない……」