【完】強引に、キス


教室の端っこで、廊下には生徒達の声・足音。


いつ見つかるかわからないこの状況で、俺は香坂にキスをした。


「ハッ……やべえわ俺。キスでこんなドキドキしたの人生初めて」


「ほんとに?」


「あぁ。お前は違うの?」


香坂は顔を真っ赤にして小さな声で言った。

「……ト……から」


俺は嬉しくて、香坂を抱きしめる。甘い優しい香り…いつもの香坂の香り。


「なぁ、俺の願いもう一個叶えてい?」


「もう一個?」


「1つ目はお前を俺のにすること。もう1つは……」


「え」


俺は香坂を抱きしめてふわふわに巻いた髪を耳にかけてそっと


「美亜……」


名前を呼んだ。
俺の2つ目の願い、名前で呼ぶこと。


「お前、そーいや泣き虫だったな(笑)」


ボロボロ泣く美亜の頭を撫でて優しく、でも強く、抱きしめる。


ーーーーーーーファーストキスだから。


たぶん、いや絶対、26年の中で一番のプレゼントだ。


美亜の初めて、こんな俺でいいのかわかんねえけど、他の奴に渡すくらいなら俺が最高に幸せにしてやる。


愛してる、美亜。



長谷side 終わり
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