【完】強引に、キス


家を出てからおよそ10分


目の前には、スヌードで半分顔を埋もれさせてベンチに腰掛ける悠雅がいた。


私に気がつくと、早足で近づいてきて両手で私の顔を挟んだ。


「ひやぁぁっ」


「音亜あったけえー」


冷たすぎるその手に驚き声を上げると、悠雅は面白いのかゲラゲラ笑った。


「ん」


手を差し出されて私は悠雅の冷たくなった手を握る


「行くか」


悠雅に連れられて学校へ向かう道を進んだ。


てっきり攻められるかとばかり思っていたけど、悠雅から出てくる言葉はいつもと変わらない、ただの日常会話。


きっと悠雅なりに気を使ってくれてるんだろうな。


段々学校に近づき、生徒達の姿が見えるにつれて、私の手を握る悠雅の力が徐々に強くなっていく。

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