【完】強引に、キス


「悠雅……今の、どういうこと……?」


私は背中を向けたままの悠雅に問いかける。



悠雅は振り向くと、いつもの優しい悠雅に戻っていて、


「あいつ、ビビってたな(笑)」


とだけ言って話をごまかした。


その日を境に、嫌がらせの噂はなくなったけど、変わりに悠雅の追いかけが再発したり、机や下駄箱に「別れろ」の手紙が入ったり……。


悠雅には黙ってて言ってない。


今回の手紙等がきっかけで気になることが1つできた。


「まただ……」


机の中に手を入れると、沢山の丸められた紙屑。


“住む世界が違う”


“悠雅さんはお前みたいな下人が関わっていい人じゃない”



この言葉と、先日に美亜から聞いた悠雅の家の事情の噂、2つを照らし合わせると、嫌がらせの意味がなんとなくわかった。

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