かすみ草の恋
教室の入り口の所から山田弟が顔を覗かせて


「ミカ〜〜!英和辞典貸して?
忘れちった」


と言って二カッと笑った。


「ん? レイジ??
ちょっと待っててね!」



と言って自分の机から英和辞典を取り出すと教室の入り口まで足早に移動して


「はいどーぞ
あっ、5時間目に使うからお昼休みにでも取りに行こうか?
2年生の教室まで来るの気分的に嫌でしょう?」



と言ってニッコリ笑った



「借りるのは俺なんだから
きちんと返しにくる。」


と言って、山田弟はニコニコ笑いながら辞書を受け取った。


そして

「辞書貸してくれたお詫びに今日
ミカの好きな白い木のケーキ食いに行こうぜ!おごるよ!!」


と橘の手を掴みながら言った。


周りの女達は完全に山田弟の容姿に完全に魅了されている。



おい!山田弟、橘に触るんじゃねぇ。


「レイジ…ありがとう!本当嬉しいよ?
でもあそこのケーキ高いし、こんな辞書貸すくらいで奢って貰えないよ!
あっ!そうだ!!私、朝アップルパイ焼いたの。白い木のケーキには及ばないけど、食べに来る??」



と掴まれた手を離そうともせずに
ニコッと笑って言った。




「「「いくっ!!!」」」



咄嗟に俺も橘のあいてる方の手を握って叫んでいた。


山田に関しては後ろから橘に抱きついて
叫んでいた。



山田弟は俺を上から下まで見定めるように見た後



「あんただれ?」


と怒りを含んだ声で言った。

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