かすみ草の恋
帰り道、私たちは涙も止まって手を繋いで笑いながら帰っていた。


リンカも心の中がスッキリしたのか
いつもよりも更に綺麗な顔で微笑んでいる。



「…ねぇ、ミカ。
アメリカに行っても、連絡頂戴ね!
私はもう大丈夫。
ミカのおかげで前に進めてる気がする。
実はね、ミカの事が1番好きなんだけど
少しだけ気になる人がいるの…」



「今井くん??」



「えっ!なんでわかるの??」


「だって、リンカの今井くんを見る目は少し違うなって思ったからだけど?」


「…ミカ……。ミカは?いいの??
ミカは今井の事はどうも思ってない?
気になる人とかいないの??
私の事は気にしないでいいから!
親友として教えて?」



「…いるよ。好きな人……。
さっき気がついたんだけど…」



「そ それって、今井じゃないの?」


「違うよー」


「えっ?誰??」


「私が熱を出した時1番に
気がついてくれた人
私が困った時、いつもひょっこり現れて助けてくれる人
私が楽しい時、いつも側にいてくれる人
超絶にカッコ良くて、その辺のモデルなんかよりも素敵な人。
私の大好きな親友の弟で
私の大切な幼馴染」


と言ってニッコリ笑った。



「…レイジなの?」


ミカは目をまんまるにして言った。



「大当たり!」



「キィーーー!やっぱムカつくわ!
私の愛おしいミカの好きな人がレイジだなんて!」


とちょっと顔を歪めて言ったリンカ


「ふふふ(笑)でも、この恋心はまだ
封印かな?
私はアメリカに行っちゃうし…
でも、アメリカから帰ってきて
その時、レイジに素敵な人がいなかったらダメもとで告白してみようかな?
私の気持ちは消えそうにないから…」



と、私はおどけて言った


そしたら突然背後から声がした


「なにそれ??
アメリカってなに??
封印するなよ!ミカ!!」



私とリンカはビクッとなって後ろを振り返ると
そこには今井くんとレイジがいた


リンカの事が気になって2人で
様子でも見に来たのかな…?


レイジが何か言おうとしたのを今井くんが遮って一歩前に出てきた


なに?


私は黙って顔を傾げると



「わりぃ、山田弟。先に言わせてくれ。
橘…俺は橘の事が入学式の日から
好きでした。
優しくて思いやりがあって、かわいい橘が大好きだ。
次の恋に進むのは時間がかかると思うけど、きちんと言わないと
俺が先に進めないんだ…
本当は諦めたくない。
お前を俺の胸の中に
閉じ込めておきたい。
でも、橘ならどんな状況でも相手の幸せを優先に考えるんだろうから俺もそうするよ。
橘、ありがとう!!」


と言って優しい笑顔で微笑んだ。


こんな素敵な告白は初めてで…
私は不覚にもドキドキして顔が真っ赤で茹でダコみたいだと思う。


レイジへの気持ちに気がつかないで
もう少し同じ時間を共有してたら
今井くんを好きになっていたかもしれない。


けど、今井くんと付き合った後に
私はレイジの大切さに気が付いてしまうんだと思う。



私は落ち着こうと大きく深呼吸して
今井くんの素敵な告白の返事をしようとしたら


後ろからギューッと抱き締められた


「言うな…ミカ。
おい、今井! ミカは俺のもんだ。
ミカを惑わせるのはやめてくれ…」


と、レイジが私の肩に顔を埋めて言った



途端にレイジへの想いが溢れて
涙がポロポロ出てきてしまった。


そんな私を見て、リンカが


「ミカの泣き虫。 ほとんど涙を見せないミカが今日はどれだけ泣くの?
レイジ!!きちんとミカを泣き止ませなさいよ!
ほら、今井!行くわよ!!」


と言って、リンカは今井くんを引き連れて背中越しに手を振ると
どんどん言ってしまった。



リンカ……



ありがとう。
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