守る壁ドン
途中、席替えタイムがあり、これで解放されるとホッとしたが、川田さんは席を動かなかった。
私が移ろうとするのも嫌がり、小学生のようにゴネた。
私は場の空気が悪くならないよう、その場にとどまるしかなかった。

私以外の女子二人は、今夜の合コンを満喫したようだ。酒豪の真帆は、お酒好きな山岸さんと意気投合していたし、彩は中谷さんと連絡先を交換して大喜びしていた。
皆は二次会へ行ったが、私は、明日、朝から用事があるので、と断った。もちろん嘘だ。
川田さんの相手をするのに疲れきってしまい、早く逃げたかった。
帰り際、連絡先をしつこく聞かれた。スマホが電池切れだと嘘を吐き、デタラメな番号を教えた。

あとをつけられているのに気付いたのは、繁華街を抜け、人通りの少ない住宅街に入ってからだった。
気のせいかな?と思いつつ、恐る恐る足を止めて振り向くと、遠くのほうで背の高い人影が立ち止まった。
どこか見覚えのあるシルエットにゾッとして、私は走り出した。
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