守る壁ドン
この道は暗く、助けを求められるようなコンビニや店もない。
こんなことなら乗り換えが多くても、繁華街の中にある、あっちの駅を使えばよかった。
足音が迫ってくる。距離がどんどん縮まるのを感じ、私はパニックを起こしかけた。
後ろからいきなり肩をつかまれ、悲鳴を上げかけたとき、意外な声が耳に飛び込んできた。
「水野さん!」
私の肩をつかんだまま、はぁはぁ息を切らせているのは、中谷さんだった。
「中谷さん、なんで?」
「立ち止まらないで!このまま、前見て歩いて!」
私の背中をとんっと手のひらで叩いて、小声で早口に言う。
街灯で青白く見える中谷さんの横顔は、こわばっていた。
「もしかして、つけてきてるのって…?」
はっきりと名前は出さずに聞けば、中谷さんはコクリとうなずいた。
「だから、後ろは見ないで。できるだけ気付かないふりして自然に歩いて」
背筋がゾッとして鳥肌が立った。怖くてすくみそうになる足を励まし、必死に歩く。
中谷さんは心配そうに私を覗きこみ、ちょっとすみません、と謝った。
こんなことなら乗り換えが多くても、繁華街の中にある、あっちの駅を使えばよかった。
足音が迫ってくる。距離がどんどん縮まるのを感じ、私はパニックを起こしかけた。
後ろからいきなり肩をつかまれ、悲鳴を上げかけたとき、意外な声が耳に飛び込んできた。
「水野さん!」
私の肩をつかんだまま、はぁはぁ息を切らせているのは、中谷さんだった。
「中谷さん、なんで?」
「立ち止まらないで!このまま、前見て歩いて!」
私の背中をとんっと手のひらで叩いて、小声で早口に言う。
街灯で青白く見える中谷さんの横顔は、こわばっていた。
「もしかして、つけてきてるのって…?」
はっきりと名前は出さずに聞けば、中谷さんはコクリとうなずいた。
「だから、後ろは見ないで。できるだけ気付かないふりして自然に歩いて」
背筋がゾッとして鳥肌が立った。怖くてすくみそうになる足を励まし、必死に歩く。
中谷さんは心配そうに私を覗きこみ、ちょっとすみません、と謝った。