彬へ・・・。
ここからの記憶は曖昧で、もう6年も経ったから忘れていった・・
でも覚えてる全てを書くね。だから、あなたも思い出して・・。
3日目以降、私達の夜の食事は毎日のようだった。食事の後は必ずロビーで話し込んだりして・・一緒に食べれない日はあなたの事ばかり思ってしまって、部屋での1人食事は、おいしく感じられなかった。いつからか会えない日は、ムダに廊下にでて上の階を見上げたり、ロビーを見たり、彬を探してばかりいた。

こんなのストーカーかな・・でも、会いたくて、会いたくて仕方なかったんだよ。


そう。あの日の記憶を話そう。あの日、私は教習所から早く帰って来て、また一人で部屋での食事。寂しいな・・。
なんて思いながら食器を返しに行き、部屋へ戻る。エレベーターの中
彬に会いたいな・・。その思いだけで、いっぱいだった。
ぼんやり部屋まで歩いていくと、誰かに呼ばれた気がした。
ふと、上を見ると彬が私を呼んでいて、「もう食事した?」と聞かれ、「今、食器返してきたとこ・・あ・・彬は?」
つい聞いてしまって・・「今から食べに行くとこ」そんな答・・悲しい。・・だから・・勇気を振り絞って言ったんだ。
「付き合おうか?」
彬は、「え・・」と言った。私は「一人で食べるの寂しいでしょ」と自分が感じた思いを言葉にしてしまった・・
ダメかな・・私の心は諦めかけていた。
でも彬は、「じゃあ」と言ってエレベーターを指した。私は急いでエレベーターに向かったんだ。

嬉しくて、嬉しくて、ただ彬に会える事が、嬉しくて・・

エレベーターの前に着くと、ちょうどドアが開いて、中には笑顔の彬がいた。
私達は、ご飯を食べ、それから遅くまでロビーで話し込んじゃったね・・

その時間は、あっという間・・。

時間を止めていたいくらいに、楽しかったね。

私は、幸せだった。


でもロビーで話しているとき、彬が、過去の話しをしたの。
元カノの話。
あなたは今でも忘れられないように見えた
でも・・どうして私なんかに話してくれるの?
まだ会って数日なのに、どうして、そんな心を開いて話してくれるの?

彬にとって私の存在は、なんなのかな?

ただ、一人の食事が寂しいから?

ねぇ・・どうして?

私なんかにそんな話してくれるの?
< 5 / 14 >

この作品をシェア

pagetop